亡国のイージス

ガンダムとは関係ありませんが(福井氏が作者の時点で無関係とも言えませんが)映画『亡国のイージス』を観てきましたのでその感想でも。
まずは、あの長い原作を、よく映画の尺に破綻なく収めたものだと、素直に感心しました。同じ福井氏原作の『ローレライ』があまりにも映画と小説で内容が乖離していたもので、少々不安はあったのですが(あちらは小説と映画が平行で作られてたせいもあるでしょうが)杞憂でした。
もっとも、2時間で収めてる為に犠牲になってる部分ももちろんあるわけで。個人的には菊政とジョンヒの扱いが小さすぎたのが気になりました。菊政、行となんら接点がないまま死んじゃったので、単なる“艦内で陰謀が進行している”ことを表現する為の道具にすぎませんでしたし。ジョンヒは名前すら出てこないわ、原作の異様な強さがいまいち伝わってこないわ、原作読んでない人にはヨンファの妹ということすら伝わらなかったんじゃないでしょうか。この辺りは、話のメインを仙石に持ってきたために、行絡みのイベントが削られたせいなんでしょうね。
他にも、宮津以外の幹部達が、キャラ立ちが薄すぎて誰が誰だか分からないまま死んでいっちゃったのも残念。この辺は、『ローレライ』の方が一人一人のキャラが立ってました。
あと、一つだけストーリー的な不満点を上げさせてもらうと、原作で宮津が最後に息子と邂逅し『ありがとう、お父さん。あなたは、子が誇れる父でした』という言葉を受けるシーンがなかったこと。この作品のテーマを象徴するシーンだけに、これがなかったのは残念でした。
逆に、原作より良かった点。国家安全保障会議の場面は、非常に良く出来ていました。特に総理と内閣情報官が醸す人間臭さは必見です。映画って役者次第なんだなあ、とつくづく感じました。
で、結論として、行はやっぱりヒイロだなあ、と(笑)