D-ASTRAY小説版

J-CROW2005-07-14

「D-ASTRAY」小説版第1巻を読了しました。
「SEED」と「DESTINY」の間の時代を舞台に、戦場カメラマンのジェスが愛機のアストレイアウトフレームを駆って真実を追い求めていく話――まあ、漫画版とか模型誌の記事読んでる人なら、今更説明するまでもありませんが。でも、絶対に戦わないキャラを主人公にするという大冒険に挑み、今のところそれに成功してる作者の千葉さんには、同じ創作やってる人間として、頭が下がります。これまでのエピソードを見ても、うまくカメラマン、ジャーナリストであるという設定を活かしてますしね。作品のテーマの一つである『物事は一面からだけ捉えてはならない』というのは、アニメ版に対する皮肉かと思わず勘ぐってしまいます。そういえば、ASTRAYシリーズ全般に言えることですが、アニメより設定をうまく活かしてますね。
さて、小説版は漫画版で描かれた南アメリカ合衆国編の後が舞台。
漫画では完全にジェスが主役ですが、小説版では相棒のカイト、そしてASTRAYシリーズではお馴染みのサーペントテールの比重が大きく、どちらかというとジェス、カイト、劾のトリプル主人公といった感じ。漫画版では完全に脇役に徹しているカイトの過去話なんかも出てきて、彼に対する印象が大分変わってきました。
お話自体は短編集ということもあり、なんか無理矢理まとめたようなエピソードが目立ちましたが、面白いのは保障します。ソキウスやカナード(こいつは名前だけ)が出てきたり、MSVが多数登場したりと、知っている人は思わずニヤリとするような演出も多いです。反面、この作品で初めてASTRAYに触れる人には説明不足な点も多々あるような気もしますが。
で、読んでて一番疑問に思った点なんですが、カイトの職業である『プロのモビルスーツパイロット』って、なんなんでしょう? 普通MSパイロットといえば軍人ですが、彼はどこの国にも組織にも属していません。かといって、傭兵でもないようです(傭兵ならサーペントテールやカナードのように傭兵を名乗るでしょう)じゃあ、プロのMSパイロットって何? しかも彼はどこで手に入れたか、MSを複数所有しています。(本編で登場しただけでジン1機、ザク2機)ジンはともかく、この時代ではまだ最新鋭機であるザクを2台も個人で所有しているとは。どこから入手したのかとか、維持はどうしてるのかとか、修理や補給はどうなんだとか、なんだか謎がいっぱいです、カイトさん。この点は、今後明らかになるんでしょうかね?