作家・福井晴敏、ガンダムを語る
慶応大の三田祭で福井晴敏の講演会があると聞きつけ、行ってきました。
以下、内容の箇条書きです。
・UCを書き始めた理由は、活字離れをしている1st世代に小説を読んでもらうため。
その為に完結までは敢えてアニメ化の話をしなかった。
「小説じゃなきゃ読めないってことなら、仕方なく買うだろうと」
・ガンダムは市場が出来ているので企画として通しやすいという理由もあった。
・当初はオリジナルでいいという話で「自衛隊でガンダム」という話もあった。
しかしオリジナルでは想定したターゲットが興味を持たないし勝算もないと考えて宇宙世紀を舞台にした。
・ニュータイプは頑張り続ければ先があるというメッセージだったが、90年代以降の作品は何もしないでいいというメッセージの作品ばかりになった。オンリー1とか個人主義の時代。
・雑誌の対談で富野監督に呼び出されて行ってみたらいきなり「ごめんなさいね。今度の新作ガンダム(∀のこと)の小説書く人として、紹介しちゃった」と言われた。
・当時はガンダムを書いても小説家の経歴としてはノーカウントだよと言われた。
・小説版∀を書き始める段階であったのは4話分の絵コンテと2クール分のプロットのみ。
富野監督に「最後どうなるんですか?」って聞いたら「そんなの分かるわけないじゃない」と返された。
・ラストは好きに作っていいと言われたので、富野監督ならこうなるだろうと考えて書いた。
・最初はテレビも割合小説版に近いラストを想定していたらしかった。しかし小説の原稿を渡してすぐに、何やら劇的な変更があってアニメはあのラストになったらしい。
・UCの第1話を見た時、「オレ、ホントにいいことしたな」と思った。
・UCの続編は今は思いつかないところまでネタを出し尽くしている。
今後、ガンダムでしかできないことを思いつけば、またやるかも。
何やら富野監督絡みのエピソードが一番面白かったわけですが、とても興味深い話が聞けて、有意義な一日でした。